WILLナビ:よみうりGENKI 次代を担う人材を育てる中高一貫校特集
受験生へのメッセージ
  1. 行事の再開で戻ってきた活気 各校の学校文化が開花
  2. 自分は海外に行けなくても 海外に行く仲間がいることが刺激に
  3. 勉強だけではない、それぞれが 得意分野に打ち込める環境が大事
行事の再開で戻ってきた活気
各校の学校文化が開花

 ようやくコロナ禍による行動制限が解除され、閉塞感があった教育現場も明るさを取り戻してきました。各校とも学校行事の多くが例年通りに実施できるようになり、文化祭や体育祭のほか、海外研修を含めた校外学習なども再開されつつあります。学校行事は先輩から後輩へと伝えていくことで継承される学校文化の一つであり、特に伝統校では学校の建学精神を反映するものとして大切にされています。学校の特徴がもっとも現れる場面ですから、これから中学受験を迎える方はなるべく足を運び、そこで感じた学校の雰囲気を学校選びの指標に加えると良いでしょう。

自分は海外に行けなくても
海外に行く仲間がいることが刺激に

 これまで自粛気味だった留学関連のイベントも盛んに行われるようになりました。私もそうしたイベントで講演させていただく機会がありますが、会場の熱気を感じるにつけ、あらためて留学への関心の高さを実感します。奨学金制度が充実してきたとはいえ海外は学費が高額なうえ、今の円安の状況では家庭の経済的負担は軽くありません。しかし海外に行けばさまざまなバックグラウンドを持つ人に出会い、多様な価値観に触れることができます。日本の未来を考えれば世界の国々と協働していくことは必要不可欠ですから、留学する意味は大きいと思います。留学制度の拡充に力を入れている中高一貫校は多いので、そうした視点は学校を選ぶモノサシの一つといえるでしょう。
 世界へのチャレンジといえば、得意分野で世界に挑戦する中高生たちが増えました。たとえば数学・化学・生物などの国際科学オリンピックで、国内で優秀な成績を収め、代表として海外の大会に参加する。世界中の優秀な高校生たちが集まるなかで自分の力を試せば大きな自信になります。中高一貫校にはそうした大会に積極的に参加して、毎年のように世界大会に代表を送っている学校もあります。留学もそうですが、自分が行けなくても、世界を体験してきた仲間、世界を目指している仲間が身近にいることは大きな刺激になります。

勉強だけではない、それぞれが
得意分野に打ち込める環境が大事

 今夏の高校野球では進学校の奮闘が印象に残りました。東京都の大会でも開成、麻布、海城といった難関進学校が4回戦まで進んでいます。東大に多数の合格者出すような学校は、1〜2回戦止まりが普通でしたが、今や4回戦ぐらいまでは手が届くようになりました。進学校だからといって勉強だけに力を注ぐのではなく、部活も両立させて頑張っている様子がうかがえます。国際科学オリンピックもそうですが、学校の勉強を一生懸命にやりながらも、好きなことに打ち込める風土があるのはすばらしいことです。それぞれが好きなことにじっくり打ち込めるのも、高校受験のない中高一貫校の魅力の一つ。多様な体験の機会を与えてくれる私学の良さです。
 学ぶ環境にどんな仲間がいるかは大事なことです。どんな仲間と一緒に学んでいくのか。どんな仲間と一緒に人間として成長していくのか。そんなところもイメージしながら志望校を選ぶとよいと思います。どの学校を選ぶにせよ、中学受験をするには相応の学力を身につけなくてはなりません。そのためには受験生たちの中で自分の位置を知ることも大事です。そこはぜひ「サピックスオープン」をご活用いただければと思います。

髙宮 敏郎(たかみや・としろう)
1997年慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入社。2000年、高宮学園代々木ゼミナールに入職。同年9月から米国ペンシルベニア大学に留学して大学経営学を学び、博士(教育学)を取得。2004年12月に帰国後、同学園の財務統括責任者、2009年から現職。SAPIX小学部、SAPIX中学部、Y-SAPIXなどを運営する日本入試センター代表取締役副社長などを兼務。
これからの時代に求められる人材像─中高一貫校で育む力─ 早稲田大学系属早稲田実業学校中等部・高等部 校長 村上 公一 先生 豊島岡女子学園中学校・高等学校 校長 竹鼻 志乃 先生 麻布中学校・高等学校 校長 平 秀明 先生