次の問いに答えなさい。
(1)1から70までのすべての整数の和を求めなさい。
(2)1から70までの整数のうち,アからイまでの連続した整数を除きます。残った整数の和を求めたところ2023になりました。
ア,イにあてはまる整数の組みあわせをすべて求めなさい。ただし,アが1,イが10のときは(1,10)のように答えなさい。
(1)S=1+2+3+……+68+69+70とすると,足す順序を逆にしても同じことなので,
S=70+69+68+……+3+2+1
これら2つの式を,上下そろった数同士を加えながら足し合わせると,
2×S=71+71+71+……+71+71+71
となるので,2×S=71×70となります。
よって,S=71×70÷2=2485
注 これを一般化すると,
「αからbまでの連続するk個の整数の和Sは,S=(α+b)×k÷2」(最初の数と最後の数を加え,連続する数の個数をかけて2で割る)
ただし,k=b−α+1です。
(2)1から70までの整数のうち,アからイまでの連続した整数の和が,
2485−2023=462となればよいのです。
そこで,空欄ア,イにあてはまる数をそれぞれα,bとし,αからbまでの整数の個数をk個としましょう。
上の注の内容から,(α+b)×k÷2=462となるのですから,(α+b)×k=924……(★)
ここで,kが偶数なら,αとbの一方は奇数で他方は偶数なので,α+bは奇数です。
逆に,kが奇数なら,αとbはともに偶数かともに奇数なので,α+bは偶数です。
いずれにしても,924を“奇数×偶数”の形にできれば,それに応じてkとα+bの値が決まるというわけです。
それには,924の奇数の約数を探せばよいのですから,まずは,素因数分解ですね。
924=2×2×3×7×11の 部に注目すれば,924の奇数の約数は,
1,3,7,11,21,33,77,231
の8個です。
このそれぞれに対し,924は,
1×924,3×308,7×132,11×84,
21×44,33×28,77×12,231×4
ここで,k=b−α+1<α+bであることに注意して調べます(×は「決まらない」)。
1×924…連続1個の整数で,最初と最後の数の和が924 → ×
3×308…3個の整数で,和が308 → ×
7×132…7個の整数で,和が132
→63から69 ………………(☆)
11×84…11個の整数で,和が84
→37から47
21×44…21個の整数で,和が44
→12から32
33×28…28個の整数で,和が33
→3から30
77×12…12個の整数で,和が77
→33から44
231×4…4個の整数で,和が231 → ×
注 たとえば,☆の決め方は次のようです。
7個の整数だから,b−α=6。これと
α+b=132より,α=63, b=69
以上により、答えは,
(63,69),(37,47),(12,32),
(3,30),(33,44)
中学への算数
東京出版刊行
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●編集方針●
最近の中学入試では、型にこだわらない新傾向問題が増えています。 これらは、ためしたり、かぞえたり、整理したり、場合を分けたり、 規則性を発見したり、グラフを書いたり、図形を動かしたり、 立体をいろいろとりあつかったり、というように、 単なる反復練習では解くことのできない、 数学的な発想力や思考力を要求される問題です。 それに応える力を育てることが本誌の最大の目標です。同時に、受験を離れたところでも、算数のおもしろさ、 楽しさを伝えていきます。
論理的思考による問題解決能力が不可欠な現代社会においては希望進路にかかわらず、数学を学ぶ必要があります。そこで、どの生徒も無理なく学習を進められるように、複数学年でクラスを分割する少人数授業を実施し、また、小テストを進度に合わせて適宜(高2の演習授業では毎回)行い各自の理解度を確かめるなどの工夫をしています。